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外村彰氏御逝去(物理学)



世界的な物理学者である外村彰(とのむら・あきら)氏(日立製作所フェロー)が御逝去された。
享年70歳。
膵臓癌だったとは…

外村氏は実験物理学者であり、原子・分子レベルのミクロな世界の現象を記述する「量子力学」の基礎原理に関する実験的研究で世界的に知られている。
量子力学の基礎原理の一つとして、物質も光や音波と同様「波動」の性質をもつことが挙げられる(一方で、光(電磁波)は波動であると同時に粒子(物質)としての性格をもつ)。
電子顕微鏡はこの原理を用いたものである。
波動の性格をもつ電子、すなわち、「電子波」を光の代わりに試料に当てて観察しているのである。
電子波の波長は可視光線よりもずっと短いので、光学顕微鏡より分解能が高く、光学顕微鏡に比べてずっと小さいものを観察できるのである。
外村氏はこの電子波を用いて、光の代わりに電子波でホログラムをつくる「電子線ホログラフィー」を開発した。

外村氏の大きな業績の一つに、「アハラノフ・ボーム効果(AB効果)」の実験的検証がある。
AB効果とは、空間の一部に磁場が存在するとき、電子が磁場のない領域を通過しても磁場の影響を受けて、電子線の干渉縞がずれたりする現象である。
これは量子力学の理論から予想されていた現象であるが、従来の古典物理学では考えられないような現象であり、長い間物理学者の間で論争になっていた。
このAB効果を外村氏は世界ではじめて実験で実証してみせ、物理学における大きな出来事となった。
この研究成果が発表されたのは私が大学生の時であり、一般のニュースでも大きく取り上げられていたのを覚えている。

このように外村彰氏は物理学の基礎原理に関する実験的研究で大きな業績をあげられた、世界的な物理学者である。
氏の御逝去に哀悼の意を表し御冥福をお祈り申し上げるとともに、私が言うのも甚だ僭越であるが、氏の業績を大きく讃えたいと思う。
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